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ライター・藤丸心太(ふじまるじんた)のブログ。本の感想とかゲイネタとか創作系など。お仕事依頼などはメールで。リンク・TB自由。コメントは承認制。fujimarujintaあっとgmail.com (あっとを@に変更)


by bogdog

「モリのアサガオ」映画化

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 郷田マモヲの「モリのアサガオ」(通称モリアサ) 全7巻 
 死刑囚と新人刑務官の魂の交流を描いた漫画。


 (ジン太目線のあらすじ)
渡瀬は、少年のころ両親を殺され、自身も障害を負い未来を奪われる。その10年後、渡瀬は刑務所から仮出所した両親を殺した男に仇討ちをした。しかし、そのとき男の娘も一緒に殺してしまう。一年後に警察に自ら出頭。やがて始まった裁判では、弁護士とともに殺した娘に関しては過失致死として減刑を主張していたが、渡瀬は土壇場で「娘も知っていて殺しました」と主張をくつがえし、死刑を求刑される。死刑囚となった渡瀬は心を閉ざす。裁判でも黙秘した殺人から出頭までの空白の謎の一年間。新人刑務官の及川は、渡瀬に憧れと抱いており、渡瀬の苦しみをともに背負おうするが、渡瀬は心を開こうとしない。しかし、実は刑務官である及川自身にも死刑関わる因縁が隠されていて……。 お互い野球少年だった渡瀬と及川のシャドーキャッチボール。お互いの傷をいたわりあい、ときには傷つけ合いながらも、徐々に心を開いて禁じられた関係を築いていく二人。たとえ、最後に及川の手で渡瀬の命を奪うことになろうとも……


 2007年で面白かった漫画といえば? と聞かれたらまずはこれ。
 日本の死刑制度について深く掘り下げられている所はもちろん、「死刑する側」と「死刑される側」の苦悩や葛藤を、及川と渡瀬の二人の交流を軸に描かれている所がいい。

 初めは、死刑に対して、死刑と判決されるような極悪人は死刑になればいい、といった表層的な思いを少なからず持っていた新人刑務官の及川だが、他のベテラン刑務官や死刑囚との交流を通じて、「死刑する側・死刑される側」それぞれに人間としての苦悩があることを知る。 そして、冤罪や死刑になっても救われない被害者と加害者の現実を見てこう考えるようになる「死刑は必要なのか?」 だが、死刑になることではじめて自分の罪の重さを知り、反省する死刑囚もいることも知る「死刑はやっぱり必要なんや」そして、その両方で苦悩する。

 タイトルの「モリのアサガオ」は、まるで森の中のように何が行われているかわからない死刑囚官房と考えても答えの出ない死刑制度、そして午後にはしおれてしまうアサガオのような死刑囚(死刑は午前中に執行される)を表しているそうだ。情緒がある、とてもいいタイトルだと思う。

 んで、今週のアクション見たら、映画化って書いてあるじゃないの!監督は「手紙」の生野慈朗氏だそうです。でも、どうなんだろうー。ラストの山場のシーンで小田和正の歌が泣けとばかりに大音量で挿入されたりするんだろうか。見てないんすけどね。

 中途半端に愛とかお手盛りなエピソードとかをムリヤリ詰め込まずに、ここは三浦しおんさんや山田ユギさんが帯で紹介文を書いてるように、BL(同人、やおい)の需要は確実にあるんだから、及川と渡瀬の関係性を軸に、BL映画として映像化してほしいな。もちろんエロってわけじゃなくて、男同士の友情をしっかり書いてほしい。死刑囚と刑務官の友情なんて、まさに「孤独と連帯」じゃないですか!!
by bogdog | 2007-10-17 17:00 | この漫画がスゴい!