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ライター・藤丸心太(ふじまるじんた)のブログ。本の感想とかゲイネタとか創作系など。お仕事依頼などはメールで。リンク・TB自由。コメントは承認制。fujimarujintaあっとgmail.com (あっとを@に変更)


by bogdog

【犬の十戒】と【犬と私の十の約束】

「犬の十戒」がブームになって、それにうまく便乗した形で「犬と私の十の約束」となって大ヒットしている。映画も本も見てないんでほんとーにあれなんだが。なかなかうまいこと商売にしたなあと思う。もちろんいい意味で。これは商売として素直に賞賛すべきところだ。


気になるのだが、「十戒」がなぜ「約束」になってるんだろう。物語にするにあたって、なじみのある言葉にしたと言えばそれまでだけど、ちょっと考えてみる。


「十戒」とは、十の戒律。


「戒律」とは、宗教上、守らなければならない、道徳規範や規則の事。つまり、神との約束であるといえる。


そう考えると、「犬の十戒」は、そこに神様のような絶対的ものの存在が見えてくる。ここでの「神様」とは、犬にとっては飼い主の人間、人間にとっては、犬にとって神である自分自身(の中にある信仰心)ではないだろうか。


「約束」とは、相手に実行を決めること、とりきめ。神との戒めである「十戒」とくらべたら、よくいえば人間的なイメージだ。


英語圏の人が犬をどう思ってるかは知らないけれど、「犬は人間ではない」という共通認識がこの「十戒 」あらわれてるような気がする。

日本人には、「犬は人間ではない」という意識があまりないのではないか。「うちのポチは自分のこと人間だと思ってる」とか言っちゃったり、写真に勝手に「おとうさんがごはんを食べさせてくれた」とかキャプションしたり、服着せたりするのを見てるとそう思う。わからなくはない。でもモヤっとする。


あたりまえの事をいうと、犬は絶対に人間になれない。犬は犬の精神構造で、犬の命を生きている。もし人間が1人で犬に囲まれているとしても、犬になりたいなんて絶対考えないだろう。


「十戒」が「約束」になってしまったときに、そこに人間本意の「ヒューマニズム」や「感動」という言葉で歪められた自己愛的な意志が入ってる気がして、なんだか気持ち悪い。


もちろん、「犬の十戒」はすごくいい詩だと思うし、動物との感動話も大好きだが……そんなに人間は他の動物に愛されてばかりいていいのだろうか。そもそも人間的な「愛」を他の生き物に適応するのが正しいことなのか、と思ってしまう。
by bogdog | 2008-05-22 13:31 | 日々のことば