ライター・藤丸心太(ふじまるじんた)のブログ。本の感想とかゲイネタとか創作系など。お仕事依頼などはメールで。リンク・TB自由。コメントは承認制。fujimarujintaあっとgmail.com (あっとを@に変更)


by bogdog

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根っからの犬派なのだけれど、デジカメを下げて街を歩けば、犬の写真よりも、猫の写真をいっぱい撮ってしまいます。

なぜかと考えてみて、ひとつの答えを得ました。
『猫には物語があるから』です。

もちろん、犬にだって物語はあります。
飼い主はどんな人で、どんな生活をしているんだろうって思います。

けれども、猫は犬以上に物語があります。
それは決して、人間の言葉で語られることのない物語。
家に、路地に、溝に、屋根に、街のあらゆる場所で生きている生き物。

猫を飼った事がある人はわかると思いますが、野良猫だって、飼われ猫だって、猫は決して全部自分のものにはなってくれません。にゃあにゃあ鳴いて、膝の上で丸くなってても、自分がひとつの「物語の主人公」であることを自分でわかっているプライドというか。猫の社会だけに通じる猫の言葉を持って、それで考えてるような気がします。

できるならそれを垣間みたい。
ほんの少しでも近づいてみたいと思うのは、たとえるなら、ものすごく好きな人が、絶対になびいてくれないのに似ています。このツンデレめ。

このイシデ電さんの「私という猫」は、

 もしも私が猫だったらば
 とっくに死んでいる
 私という猫が死んで四世紀半は過ぎているのだ

という、作者(多分)のモノローグから始まります。
猫に「おとうさんがご飯をたべさせてくれたにゃん!」といわすような、萌え・擬人化ではなく、著者である「私」が「猫」である、『擬"猫"化』がこの漫画です。

イシデ電さんはさらに思考をすすめます。

 猫の私は 昼は縁側 夜はこたつでぬくぬく
 …はしていない
 
 野良だから。

 なぜ野良か?
 もちろん自由を愛するから!
 …ではなくて
 母猫が野良だから引き続き野良。
 きっとそんなところ。

野良で、美しいシッポを持って、猫が嫌いで……そんな「私という猫」が歩き始めます。

 好きなものは
 特にない
 ない
 ない
 別にない
 好きなものにあふれている世界を
 「好き」ではなく
 「ふつう」という
 そう思っているのだ

 そんなようなもの
 それが私という猫
 ほんの数年か生きて
 死んだ
 足跡
 踏むごとに残す前に消えてった
 私という猫の足跡


野生は死に近い。この「私という猫」でも、初めに「死」をにおわせます。

子猫の死、ボスとの恋、ボスの座の争い……
「私という猫」は死も生も、猫の社会も全部、ありのままに受け止め、生きようとします。

伸びをして、歩いて、喧嘩する猫たち。猫、猫、猫!
イシデ電さんが描く猫は、ひとつひとつが太く短く生きる、ありのままの猫の姿を描こうとしている。執念を感じます。

こんな漫画を読んで、街を歩く猫たちを素通りできるでしょうか? できるわけないです。

いま写真を撮った、よぼよぼの野良猫が、「私という猫」。猫に名前をつけるよりも、「あれは私なのだ」と存在すら預けてしまうような、イシデ電さんに共感してしまいます。

猫好きも、そうでない人も読んで下さい。
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by bogdog | 2008-08-20 04:52 | この漫画がスゴい!
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「このライトノベルがすごい! SIDE-B」を購入。これから読む。
ちょっと読んだんだけど、文学少女シリーズが大幅にフューチャーされてていいかんじ。最近の萌え動向、「このラノ」の賞の傾向と対策も読めていいかんじです。

ライトノベルの書き方(ざっくりと)@デイリーポータルZ



ラノベはエンターテイメント、分かりやすさ、ポップさが最重要
多い設定は、ヒロインが、暗くはかない子と、気が強いけど本当は甘えたがりな子
主人公は優柔不断な今時の男の子
(だけどひそかに無根拠な万能感を持っている)
家族がみえない、出て来ない
かなわぬ恋、ほのかなお色気
強い敵(女の子を守る)
ほっておいても話が動くような、面白い設定
字数15万字(プロット1ケ月、執筆2ケ月)
基本、表紙の可愛さで買われている。最近はデッサンの正しい絵柄が人気


というまとめがなかなか的を得ていらっしゃる。

ラノベの元祖は「ノルウェイの森」という話や、新人賞に投稿するときは、レーベルカラーを意識して、そこで売れてる作風は必要とされないから被らないようにする、という話はおもしろかった。
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by bogdog | 2008-08-17 11:34 | ライトノベルの感想だよ☆
ジン太です。
オリンピックを見ながら仕事してます。

さてさて、友達から借りたマンガの感想を言うエントリー。
こういうコミュニケーションをとれば、きっと友達も気が大きくなって、もっとたくさん本を貸してくれるに違いない……という打算ありでいきます。

少なくとも、「これはジン太に合う」と思って貸してくれたから、その心意気には答えないとであります。ライターとして……いえ、その前に漫画少年として!


「銭ゲバ」秋山ジョージ

読んだ事ある、って言ったけど、ごめんなさい。「アシュラ」と間違えてました。
このころの秋山ジョージ先生ってすごいねー。これ、少年サンデーで連載されてたんだ。そりゃ問題になるわ。

ストーリーは、幼少のころに貧乏で、そのために病気の母親を満足のいく治療ができずに死なせてしまったので、世の中の復讐として「世の中銭ズラ!」の「銭ゲバ」になる
…というストーリー。主に殺人(わりとずさん)でのし上がっていきます。

ラストがものすごかった。秋山先生の、結局は人間皆業が深い、真の意味で悪人はいない、という悲しみと絶望がものすごく重くて良かった。

「百物語」杉浦日向子
江戸奇談。猫がしゃべる話で、ひなたに座って干物を選り分けてる婆に、

 「ばばさま それを俺に食わしや」

と、猫がいい、婆が、

 「ぬしは何言うぞ まだ旦那とんにも 食わしとらんのに」

という話がいちばんかわいくてよかった。おどろおどろしくない、とりたててオチもない妖怪話がゆるくて素敵。

そのほかに、よくわかんないけど蘇って、よくわかんないままな話とか。
「死んだ女房が幽霊になって井戸に出る」というので、井戸をさらってみたら、こんにゃくが出て来て、たったこれだけのことで未練があるなんて……と呆れる話とか。

思うんだけど、幽霊が呪うとか、妖怪が人間に化けてなんかするとか、きっとそういう「人間視点で」考えた意味のある行動をするんじゃなくて、もうこの世の理を離れてるから、きっと人間からみたら意味のわからない行動をしてると思うんですよ。あいつらは。


「ゴーダ哲学堂」業田良家

「自虐の詩」のゴーダ先生です。哲学的な話をあつめた短編。
ええと、いくつかは面白く読めたんだけど、メッセージ性がストレートすぎる話はちょっと気恥ずかしくて辟易しました。うーん。このさじ加減はなんだろう。
笑いがあればいいんだけどね。

俺にとって、ギャグ漫画の条件って、笑いの中にも「ハッ」とさせる発見があるものだと思う。その「ハッ」の部分を全面に出されると、ちょっと「漫画的」ではないというか。(逆に「ハッ」の部分を巧妙に隠すと、ちょっと「文学的」。)

だから……「自虐の詩」は読めたんだけどね。


「国民クイズ」加藤伸吉・杉元 伶一
クイズに買ったら、なんでも願い事を叶えるという国民クイズ。
それを産み出した欲望や反体制……といった、わりとドタバタした漫画。
風刺が効いてておもしろい。
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by bogdog | 2008-08-16 14:20 | この漫画がスゴい!
mixiのコラムのミクコレとかいうやつ。

エチオピアなんかが紹介されています。
500人以上が、このネタで日記を書いてるみたいだ(俺も書きました)。
mixiニュースもあなどれないねー。本売れないかなー。

わりと否定的なコメントが多いのが若干気になりますが、そんなアナタこそこの本を読んでほしい。ただ辛いっていうゲテモノ本じゃなくて、一軒一軒、丁寧に取材して、

「どんなスパイスを使っているか」
「どんだけ入れているか」
「他にオススメメニューは?(辛くないのも含め)」

なんて、いろいろ見所がある本なんですよ。

あと、「藤丸心太」は本名じゃありません。ビミョーに何文字かかぶってますが。玉袋筋太郎とか二葉亭四迷とか、そんな感じのノリのペンネームです。

ただ、このコラムには大沢食堂が載ってるけど、この本には大沢食堂が諸事情で載ってないんですが……
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by bogdog | 2008-08-16 13:50 | 酒・グルメ・料理 食いしん坊

漫画メモ


「まほおつかいミミッチ」 松田洋子
「青い花」「どうにかなる日々」 志村貴子
「それを言ったらおしまいよ」「愛すべき子どもたち」 よしながふみ
「リトルフォレスト」 五十嵐大介
「バルバラ異界」「あぶな坂HOTEL」 萩尾望都
「大阪ハムレット」 森下裕美
「レモンとサクランボ」 西谷祥子
「死神の惑星」 明智抄
「ヴィリ」 山岸凉子
「トロイメライ」 島田虎之介


「銭ゲバ」秋山ジョージ
「百物語」杉浦日向子
「ゴーダ哲学堂」業田良家
「国民クイズ」加藤伸吉
「見晴らしガ丘にて」「アネモネ駅」近藤ようこ
「虫けら様」秋山亜由子
「彩雪に舞う…」楠勝平
「瞳子」「記憶の技法」「栗原かなえの犯罪」「グールドを聞きながら」吉野朔実


「日出処の天子」「ブラックスワン」山口凉子


遠方の友達が漫画をごそっと貸してくれたので、僕も貸しました。宅急便で。なんか大人っぽい。

近藤ようこさん、いいですね。

あー、漫画家になりたい。
でも絵心がないので、漫画原作を書きます。
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by bogdog | 2008-08-13 03:43 | 日々のことば
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藤丸心太として、全店51件取材+撮影を行った、「あきれたグルメガイド バカ辛伝説 首都圏版」が、先週発売になりました!
http://www.amazon.co.jp/dp/4839927596


つうわけで、ちょっとだけ掲載されているメニューを紹介します!

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蒙古タンメン中本「北極」

赤い! そして辛い!
辛いながらも、しっかりと野菜のうまさや、コクが生きてて、まさに殿堂入りのバカ辛です。辛かった……。
この写真は、表紙にもなってます。


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硯屋「四川麻辣うどん」

池袋の店舗です。
自家製麺のお店で、うどんがおいしかった。その他にも、お酒や刺身などにも力を入れていて、真っ昼間から酒がのめて最高です。そしてこのうどんは、遥か四川省から取り寄せた、本場の山椒と唐辛子を使っていて、山椒特有の痺れるような辛さが最高です。慣れてないとキツいかと思いますが、是非。カレーうどんもおいしかった!


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エチオピア「70倍カレー」

神保町の老舗。70倍にしても、辛さの倍率は無料なのです。
ベースがしっかりしてるので、激辛にしてもおいしい。常人は30倍くらいでいいと思います。そして、実はここは元々は喫茶店なので、コーヒーも隠れた人気メニューなんです。コーヒーも是非どうぞ。

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五反田 ダ・カーボ「鯛うどん」

「うどん」といっても、麺がはいってるんじゃなくて、「うどん」っていうカレー屋さんとコラボして、タイヤキの中に「うどん」のカレーが入ってるんです。皮の部分に、クミンをトッピングしてあって、ぱりっと焼き上げた皮に、香ばしさをプラス。チーズが入っているので、思いのほか辛くありません。そして、ここは普通のタイヤキにも秘密があります……!

お店は、LDやTシャツも売ってあって、なんだかアングラ感ただよいまくりで素晴らしいです。



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大山 ピエロ 「明太子チーズクレープ超激辛」
商店街にある、クレープのお店。
およそ200種類のクレープの中には、激辛メニューもあります。明太子チーズクレープは、ちょっと熱が入って香ばしくなった明太子に、唐辛子とハバネロの辛みがもうなんだかすごいことに。超おいしかったです。ここは、普通のクレープもすごくおいしい。ミルクレープみたいだった。冷めても固くならないそうなので、お土産に是非。


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四ッ谷 エルアルボル「ハバネロの肉詰め」

わかりますよ。ピーマンの肉詰めってありますからね。うっかり詰めたくもなるもんでしょー!
食べてみると、あら、意外とハバネロのフレッシュなお味。それが中のお肉のジュワッとした感じと相俟って、なかなか上品なお味じゃありませんこと?
そう、そんなことを考えてたんです。一口目は……


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渋谷 唐そば「ペペロン麺」

非常に見場のいい激辛メニュー。
つけめんのおいしさと、唐辛子ピューレのフレッシュさ、そしてトッピングのバジルとオニオンチップがいいアクセントを刻んでいます。
激辛・鬼辛・痛辛という、三段階にわかれております。
激辛でもかなり辛いので要注意! 


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味芳斎「牛肉飯」

これは本当においしかった。牛のホホ肉に、味がぎゅっと染み込んでいて、モヤシのナムルもシャキシャキしておいしい。
醤油を使わずに、スパイスだけで味をつけてるという、調味料のウマさを最大限に引出したメニュー。これは一度食べるべし! 
芝プールからも近いですよw


ってなかんじで、赤いメニューがわんさか51件分載っています。

いやしかし、「辛い」ものばっかりなので、「辛さ」を表現を書き分けるのって意外と楽しかった。取材をすすめる上でだんだんわかってきたんだけど、同じ唐辛子でも辛さに違いがあって、鷹の爪は、すぐに広がる辛さ、ハバネロは燃え上がるような辛さ、ピッキーヌや島唐辛子は、汗が出る辛さ…って感じで。辛いっていうのは、「痛覚」で感じると言われていて、もうなんだか、新しい味覚って感じです。

前回の「バカ盛」でも思ったんですが、お店の人は、純粋に美味しい料理を作っていて、お客さんを喜ばせようと思っている、そういう事を今回も思いました。味覚は、一様々なので、「辛い」ことも、それが大好きな人がいるなら、やっぱりあったほうがいい。

それに、味も変化してきているから、「おいしい辛さ」というものを求めて、料理人も、それを食べる人も、どんどん進化している、と実感しました。

今回、タイトルこそ「バカ辛」で、煽動的ですけれど、中には「辛くて食べられない」なんて言葉は一個も使ってないんですよ。

辛くておいしいメニューを、是非味わってください。
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by bogdog | 2008-08-05 15:19 | お仕事しました