「彼の殺人計画」鬼頭莫宏 ジャンプSQ5月号
2008年 04月 07日
ジャンプSQに鬼頭 莫宏 の短編「彼の殺人計画」掲載。インタビューもありなかなか豪華です。
高校生の「彼」が「殺人計画」をたてて、ただ人を殺す、という目的を果たすために、ターゲットを決めて(しかも小学一年生の女の子)そして自分自身怨恨や社会に恨みがあったと言われないように、ピアノを習ったり彼女を作ったりして恵まれた生活を送る、傍目には恵まれた日常を送る中で、彼の殺人計画は着々と進行していき、そしてある日実行しようと凶刃をターゲットの女の子に向けるが……ネタバレすると面白さが半減するのでここまで。
インタビューにもあったけれど、たとえば人を殺した人がいて、コメンテーターが何らかの理由を付けたがるけど、それはそもそも性善説に基づいているもので云々の話もあわせて読むと、非常に悪意に満ちてていいです。オチも含めて、上質のSFショートを読むような達成感。怨恨でも快楽でもなく。ただ人を殺したいという観念のために人を殺すのであれば、そこに「自己」はなくても成立するというのも、なんだか肥大化した犯罪意識を考えさせられた。
ただ、殺人シーンなんですけど、頸動脈をかっきるか、心臓をひと突きするほうが確実じゃないかしらん。ここらへんはジャンプSQの限界だったのかしら。チズはやったのにねー。でも、やっぱりラストの妙な余韻を生かすためには、あんな感じで殺されたほうがベストだったのかも……と思い至った。
by bogdog
| 2008-04-07 01:40
| この漫画がスゴい!