「ムーンドロップ町のかしこいうさぎさん」しばたひろこ
2008年 10月 14日
ムーンドロップ町に住む、メガネがトレードマークの「かしこいうさぎさん」が、毎日シュークリームを焼いて、図書館に行く……というだけのお話。その他に登場人物は小説家の「テープ君」など。1984年初版。んでもって絶版。
「注文した本が届いた」とか「ペンキを塗り替える」とか特に何も事件も起こらず、ほのぼのとした日常を書いていて何もなさがよかった。作為がなくて。
テープ君が、昼過ぎに起きてマーマレードジャムがなくなったので作っていたら、急に雨が降り出して、外は雨がざあざあ降っていて、テープ君は家の中でとんとんと甘夏の皮を刻んでいるシーンは、とても音楽的でよかった。
それで砂糖がなくなって、砂糖を借りに、かしこいうさぎさんのところに行くんだけど、うさぎさんが「お茶でもいかがですか?」って誘っても「これだけでいいよ」って言って、「じゃあまた明日ね」って帰る。小説家のテープ君は、男の子が女の子と喧嘩して、仲直りにマーマレードジャムを持ってく話なんてどうだろうって考えながら……
それだけのお話がとても印象的。
郵便屋さんに手紙を書く話とか、少年の「ちぬた君」がムーンドロップ町に迷い込む話とか、事件もあるにはあるんだけど、雪の日に図書館に行くだけの話とか、そういう何もないほうが好き。
よーく見ると、最後のコマに「MUSIC BY Elvis Costello」とか「Talking Heads」とか書いてあるし、あとがきに「ENO(ブライアンイーノ)は雪の日に合う」とか書いてありまんした。音楽と漫画の関係って、深いんすね。
それにしても、作者のネーミンスセンス、いいと思いません?
N君と、「もし猫飼うんだったら『ちぬた』にしようぜ!」「お前発音できないじゃん」とか言ってました。
(ちなみに、柴犬を飼う時は「ちょぼ六」にします。)
by bogdog
| 2008-10-14 03:31
| この漫画がスゴい!